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VillaTokyo

 

月曜日が日曜日の場所で

11-18 November 2011

 


 
ヨハン・ケーニッヒ

Alicja Kwade, Parallelwelt, 2010, Kaiser-Idell lamps, two mirrors, 83x45x45, unique. Photo : Roman März. Courtesy Johann König, Berlin

ヨハン・ケーニッヒ

アリシア・クワデ

私たちは、あるがままにものを見ているのだろうか、それともそれを見たと思ってい るだけなのだろうか? 私たちは、どこまで自分自身を信じることができるだろうか? アリシア・クワデの作品を観ているとそんな疑問が浮かんでくる。彫刻、インスタレ ーション、写真、ビデオといった幅広い領域にまたがるそれらの作品は、金、鏡、ア ンティーク家具に時計やランプといった多彩な素材を用いて作り上げられる。ク ワデの作品において、現実はもはや安定したものではなく、変換可能なオプショ ンの集合体だ。『Bordsteinjuwelen』では、道端に転がっている石がダイアモン ド状にカットされることで、輝く「歩道の宝石」に転じ、銀の盆や鉄板はまるで割ら れた窓ガラスのような無数の金属片となり、さらに石炭と黄金が一緒くたにされる ことでそれぞれの価値や意味が転倒されてゆく。古い機械時計の表面は鏡貼り にされ、辺りを映しだすことによって、観客と周辺の空間を過ぎゆく時のイメージ のなかに映し出すこととなる。また、壁に立てかけられた木の棒は、重力の秘めら れた力によって歪曲され、不意に二重写しとなり、鏡像となって、意図された混乱 をもたらす。日常生活において強固で堅いと思われたものは、ふいに柔軟でしな やかなものへと変貌し、そのことによって一貫性を持って厳然と存在していたは ずの現実自体が揺らぎ始めるのだ。シンプルな形と最低限の修正によって、もの 自体の本質を浮き彫りにさせられたオブジェたちは、何か別のものへと変容する わけではない。むしろそれらは、どこか異常な性質や価値を帯び、予期できないよ うな振舞いをする。また、日用品を多く用いたこれらの作品は、同時に、経済シス テムや権力(石炭/黄金)、物質の価値や正統性をめぐる社会的な合意や、時 間というものの性質や現実の構造、歴史の意義についての哲学的な考察といっ た様々な問題への探求にもなっている。クワデの興味は、自己の起源と物事の本 質を探究しようとする人間の根源的な欲求のみならず、そのとき、物理と魔術を 同時に信じることができてしまう不可思議にも向けられている。


アリシア・クワデ: 1979年生まれ。ベルリン在住。